泌尿器科専門医として伝えたいこと②【PSA検査について】
みなさま、こんにちは。院長の桃園宏之です。風が春の風になり、ようやく暖かい日もでてきて、寒い冬が早く終わってほしいと思う今日この頃です。三寒四温で、急に寒くなる日もあるので、みなさまにおかれましてもくれぐれもお身体ご自愛くださいませ。さて本日はPSA検査について簡単に述べたいと思います。PSA検査とは、採血検査一つでわかる、前立腺がんの検診です。PSAとは前立腺からのみ分泌されるタンパク質で(実際には乳腺など他の臓器でも分泌されますが、極々微量で臨床的には問題となり得ません)、前立腺がんの腫瘍マーカーです。つまり、それが上がっていれば、前立腺がんの可能性があります。他にもSCCやCEAなどたくさんの腫瘍マーカーがありますが、例えSCCが上がっていても、それはあくまで扁平上皮がん(肺がん、子宮頚がん、食道がんなど他にもたくさん)の可能性があると判明するだけです。またCEAも同様にそれが上がっていても、胃がんなのか大腸がんなのか、はたまた肺がんなのか、どの臓器のがんなのか特定ができないのが実情です。また、それら腫瘍マーカーは例えば肺がんなら進行しなければ上昇しなかったりするために、いわゆる検診としての意義は賛否両論あります。しかしPSA検査においては、PSAが前立腺からしか分泌されないために、臓器が特定できないデメリットがなく、非常に意義のある腫瘍マーカーであると言えます。つまり、PSAが高い場合に、前立腺以外の病気を疑う必要がないのです。もちろんどの値を基準に前立腺がんを疑うのか(カットオフ値と呼びます)は長年議論され、現在では4ng/mlとされています。年齢や前立腺の体積によっても考慮し、不要な前立腺の生検検査を避けて、かつ命に関わる前立腺がんの存在を見逃さないようにすることが、泌尿器科専門医としての責務と考えます。私は長年、前立腺がんの診断、治療に当たって参りましたので、前立腺がんに関して何かわからないこと、相談したいことがありましたら、ぜひご質問いただければと思います。今回、伝えたかったことは「50歳を超えれば、年に1回はPSA検診を行いましょう」でした。