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内視鏡検査(軟性膀胱鏡)

肉眼的な血尿の原因を調べるために行う検査です。その原因が明らかに尿路結石(膀胱結石以外)もしくは膀胱炎などの尿路感染であった場合には不要ですが、原因のわからない、さらに痛みもない肉眼的血尿では膀胱がんなどの可能性が高まるので必須になります。当院で行うのは軟性鏡といい、柔らかく細い径のカメラを尿道から挿入する検査で痛みは最小限に抑えることができます。とはいえこの検査は泌尿器科では受けなくていいなら受けたくない検査であることには間違いなく、その適応には他の検査所見とも併せて診断に利用します。それでは検査の方法などをもう少し詳しく説明します。

肉眼的血尿を認める

1.方法について

男性ならば仰向けに、女性では砕石位といってお産のような体位になって頂き、尿道から内視鏡(軟性鏡)を挿入します。挿入前に、尿道およびその周囲を消毒してから、軟性鏡にセリーを塗布してから実際に尿道から挿入します。また尿道粘膜に局所麻酔としてキシロカインゼリーを注入することもあります。これは尿道から膀胱に到達するまでに前立腺が存在する男性のみで、そこを通過する際の痛みを軽減するために行うものです。女性は男性に比べて尿道が短く前立腺もないので、すぐに膀胱内に到達するためにこの麻酔は不要です。痛みは全くない訳ではありませんが、ほとんどの患者さんはその検査が想像するよりかは遥かに楽だったとの声をお聞きすることが多いです。検査時間は5分程度で、その間に膀胱内を全体にもれなく観察します。合併症はほとんどありませんが検査後に血尿や排尿時の違和感を認めます。また膀胱炎などの尿路感染をおこす可能性があるので予防的に抗生剤を検査後に一日だけ内服して頂きます。膀胱鏡検査当日は特に制限などはありませんが、お風呂はシャワーもしくは短時間の入浴で済ませて頂くことをお勧めしています。

2.対象疾患について

膀胱鏡は膀胱内を直接観察できる唯一の方法です。一番の適応は肉眼的血尿を認める、膀胱がんを疑った際になります。顕微鏡的血尿でも、膀胱癌のリスクがある50歳以上、男性、喫煙歴などのリスクを有した方には適応になります。膀胱がんについて詳細は膀胱がんの説明ページを参照していただければと思います。この内視鏡検査で、膀胱癌の大きさや形、部位などを明らかにすることで、TUR-BTという治療および確定診断に続きますが、内視鏡検査の段階でも肉眼的に膀胱癌かどうかはおおよそ診断可能です。また膀胱がんを疑い膀胱内を観察し偶然に膀胱結石を認めることもあります。サイズによっては自然に排石できないこともあるのでその際は破砕手術をお勧めすることになります。それ以外にも男性でも女性でも尿の勢いが弱い訴えがある際に、尿道が狭くないかどうか確認するため膀胱鏡で観察することや、前立腺肥大症の方に、前立腺部の尿道がどれほど圧迫され狭くなっているのかを確認する際に、膀胱鏡を行うこともありますがこれは全例必須ではなく、術前評価に行うことが多いです。

以上、当院における軟性膀胱鏡の検査の方法や対象疾患について解説しました。確かに受けるのが嫌な検査ではありますが、膀胱がんを疑えば必須です。また当院では細径軟性鏡を使用し、経験豊富な院長が愛護的に行いますのでどうかご安心くださればと思います。もちろん同意なくいきなり検査を行うことなど決してありません。検査前にきちんと方法と合併症の説明を行った後にご納得頂いたうえで検査を行います。

記事執筆者
桃園 宏之
  • 日本泌尿器科学会 指導医
  • 日本泌尿器科学会 専門医
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