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尿の勢いが弱い

おしっこに関わる悩みの一つに尿の勢いが弱いことがあります。これは排尿(困難)症状のひとつで、その他には、尿をする際にお腹に力をいれる必要もしくは押さえてする必要がある、尿が出にくいなどの訴えがあります。排尿症状以外には、蓄尿症状といって、おしっこを貯めること(蓄尿)が困難になり、尿が近くて回数が多い、漏れてしまうなどもあります。排尿後症状といい、排尿後の残尿感、まだ残っている感じがする、切れが悪いためにパンツにおしっこがついてしまう(排尿後滴下)などの症状もございます。実際にはこれらの症状は一つではなく重なっておきることが多く、男性の場合は前立腺肥大症がその原因の多くを占めます。前立腺肥大症の治療は塞いでいる尿道の出口を広げる従来の薬剤の他にも、前立腺および膀胱の血流を増やすことで排尿症状のみだけでなく、蓄尿症状にも改善が期待できる薬剤や、男性ホルモン自体の働きを抑えて肥大症を縮小する効果を期待する薬剤など多数の選択肢や組み合わせがございます。また前立腺肥大症の根本的な治療は手術療法になりますが、その方法にしても経尿道的な様々な方法が開発され実際に臨床で行われています。
従来の削りとる手術に比べて出血量の少なくより確実に尿道の出口を広げる核出術(その中でもレーザーの種類によっても複数選択肢があります)や水蒸気治療、つり上げ術など、体への負担が少ない手術もどんどん保険適応になっています。詳しくは前立腺肥大症のページをご参照ください。

前立腺肥大症について

また男性だけでなく、当然ですが女性にも膀胱の機能が様々な要因で低下する神経因性膀胱で同じような排尿症状を認めることもあります。膀胱は排尿する際にその排尿筋が収縮することにより生理的な排尿を行いますが、神経因性膀胱では、その収縮が妨げられてしまうことでうまく排尿できなくなります。こちらもその原因は多岐にわたりますので神経因性膀胱のページを参考頂ければと思います。

神経因性膀胱について

それ以外にも、尿の勢いが弱いことを主訴に受診されて、ついでに行った前立腺がんのがん検診により前立腺がんが偶然に見つかることもあります。初期の前立腺がんにはそのおしっこの症状と直接は関係ないことも多いですが、進行すると尿の通り道を塞いでしまっている場合や、単純に前立腺肥大症とがんが同時に存在していることも多々あるからです。そのために50歳以上の男性では特に排尿困難症状を自覚している方は前立腺がんのがん検診(血液検査でその腫瘍マーカーであるPSAの測定を行います)を泌尿器科で受けることをお勧めいたします。前立腺がんは急速に増加しており、現在では男性の罹患数では全がん種で肺がんを抜いて一番多いです。早期発見、治療により完治を目指せる疾患であり、またその治療法も手術療法、放射線療法、薬物療法と様々な進化を遂げています。逆にいうと転移してしまうと、それらの治療法の選択肢が格段に少なくなり、予後に関わる重大な疾患になるために注意が必要です。

前立腺がんについて

記事執筆者
桃園 宏之
  • 日本泌尿器科学会 指導医
  • 日本泌尿器科学会 専門医
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