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検診で尿潜血を指摘

健康診断や集団検診のシーズンには、泌尿器科に尿検査の異常を指摘され受診される方が多くなります。尿検査の異常は具体的には尿潜血と蛋白尿が代表的な疾患でそのうちで泌尿器科が専門になるのは尿潜血の方です。肉眼的血尿の説明と同時に読み進めていただければより理解は深まりますが、ここでは尿潜血陽性について少し説明いたします。

肉眼的血尿を認めた

通常、検診などで尿潜血を認めた方で泌尿器科を受診された場合は、まずはその潜血が正しいものかどうか尿沈査(顕微鏡)で確認します。顕微鏡の視野内で5個以上の赤血球を認めた場合は、年齢やリスクファクターに応じて精査を進めていきます。リスクファクターとは具体的には男性なら40歳以上、女性なら50歳以上、喫煙歴、肉眼的血尿、排尿症状などです。血尿診療ガイドラインではリスクファクターありなしに関わらず、腹部超音波検査尿細胞診は行うことになっていて、リスクファクターのある方には膀胱鏡検査も行うことになります。尿検査で潜血に加えて蛋白や変形赤血球も認める際は、糸球体疾患(IgA腎症や、糸球体腎炎)なども想定し、精査目的で連携している病院に紹介する場合もあります。

尿潜血を指摘されたけれども1+程度だからと受診されない方も多いと思います。またどこを受診していいかわからずとりあえず内科を受診される方もいらっしゃるかと思います。しかし、尿潜血とくに肉眼的な血尿ともなるとその原因疾患のほとんどは泌尿器科疾患になります。肉眼的血尿で泌尿器科を受診することは必須であることはもちろんですが、顕微鏡的血尿のみであれば、腎結石や前立腺肥大症に伴うもの、女性であれば加齢に伴う外陰部の炎症の存在などの頻度が高く、すぐに対処しないと問題になるものは正直多くはないかもしれません。ただし悪性腫瘍が隠れている可能性も否定できず、少なからず今までもそこから膀胱がんや腎がんの患者様を発見することもございました。尿潜血くらいと侮ることなかれ、超音波検査や尿細胞診など、痛みを伴わない検査でのがん検診を行える泌尿器科の受診をお勧めます。

記事執筆者
桃園 宏之
  • 日本泌尿器科学会 指導医
  • 日本泌尿器科学会 専門医
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