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自費診療、その他

勃起が弱い(ED)

男性には、命に関わる訳ではありませんが深刻な問題です。性機能障害とは満足に性交が行えない状態です。その中には性欲や勃起、射精、極致感(オルガスム)の一つもしくは複数が欠如するか不十分なものと定義され、EDはその中に含まれます。少し古いデータにはなりますが2000年のEDに関する一般市民意識調査では既婚男性の3割がEDを自覚していると報告があります。それではEDについてもう少し詳しく勉強していきましょう。

1. 原因について

EDの原因は身体には何も問題のない心因性と問題のある器質性およびその両者の混合性の3つに分かれます。器質性の中でも血管性、神経性、内分泌性など分類されそれらがまた重複する可能性もあります。心因性は過去のトラウマや夫婦間のトラブル、精神的葛藤や仕事の疲れ等はよく見られる原因です。一方で器質性とは、血管性であれば動脈硬化や血栓による陰茎への血流低下、神経性であれば脳や脊髄の疾患もしくは糖尿病による末梢神経の異常に伴う勃起障害があります。内分泌性は男性更年期を初めとする性腺機能低下症や、下垂体などの機能異常に伴うこともあります。

2. リスクファクターについて

加齢は最大のリスク因子です。欧米と比較しても特に日本人の方が性機能の低下は著しく、70歳以上では7割がEDと報告されています。また喫煙も動脈硬化を含む血管障害を引き起こすことはよく知られており、EDも同様に喫煙がリスク因子になります。高血圧も、陰茎の血管に障害を引き起こすとされており、高血圧治療も副作用にEDがありますが、高血圧自体がEDを引き起こすそうです。その他には肥満や糖尿病もリスクと考えられ、糖尿病患者は非糖尿病患者に比べ4倍ほどEDが発症する報告や、心血管系疾患も、実はEDがその予測因子ではないかと言われるくらい深く関わっています。おそらくは心血管系疾患のリスク因子とEDのリスク因子がオーバーラップしているからと推測されます。抗うつ薬や降圧薬などの薬剤もEDの原因とたびたびなり、抗うつ薬や降圧薬の服用はEDの治療よりもはるかに重要なことが多いと考えます。ただし本人にとってはEDの方が深刻な場合もありその際は、内科や精神科の主治医と相談が必要です。

3. 治療について

検査により男性更年期障害と診断されれば、テストステロン補充療法が有効な治療法です。ただしその投薬を中止する時期や、間隔などまだ改善されていない問題点や、補充療法を受ける際には前立腺癌がないことを確認するための採血や、多血症、肝機能障害の定期的なモニターは必要となります。詳しくはこちらをご参照ください。

男性更年期症について

薬物療法はPDE5阻害薬といって、バイアグラやシアリス、レビトラが先発品でそれぞれの後発品も多くあり、有効率も7割と高く比較的安全に使用できるとして、第一選択薬で用いられている治療薬です。その作用機序は陰茎海綿体内に豊富に存在するPDE5という分解酵素を阻害することで、一酸化窒素の中にあるサイクリックGMPの分解を妨げ、陰茎海綿体内のサイクリックGMP濃度を上昇させ、海綿体平滑筋の弛緩を促し勃起を促進、維持するといったものになります。もっと簡潔に説明すると、血管に作用しその拡張を引き起こす(ここにサイクリックGMPが必要です)ことで血流が増え、勃起もするといった具合です。ただし併用禁忌は狭心症の治療に主に用いる亜硝酸薬で、薬が効きすぎて危険なレベルまで血圧が下がる可能性があるので注意が必要です。

4. 当院での価格について

ジェネリック(厚生労働省認可の国内製薬メーカー)

1タダラフィル(シアリスの後発品)
  • 10mg     1100円(税込)
  • 20mg     1200円(税込)
2シルデナフィル(バイアグラの後発品)
  • 25mg     900円(税込)
  • 50mg     990円(税込)
3バルデナフィル(レビトラの後発品)
  • 10mg     1300円(税込)
  • 20mg     1400円(税込)

それぞれ特徴があり、食事の影響を受けにくく、効果持続時間が最も長いのがタダラフィルで、一番歴史が長く、比較的安価であるのがシルデナフィル、即効性が期待できるのがバルデナフィルになります。効果持続時間はタダラフィルで36時間、シルデナフィルで4−5時間、バルデナフィルで5−6時間とされています。食事の影響を受けるタダラフィル以外の2剤は食前30分前の内服が望ましいのですが、行為を行う時間が食事の時間とは合致しないので、その点ではタダラフィルが使い安いと個人的には思います。ただし患者様個々の好みや、合う、合わないもございますので、それぞれの説明を聞いた上で選択頂ければと思います。

昨今、インターネットでは海外輸入のED治療薬があふれております。中には偽造品も少なくなく、また重篤な被害も報告されています。医師が海外製造の厚生労働省未承認薬を個人輸入し、全国展開するEDクリニックに渡したなどの事件も起きているそうです。そのため、たかだかED治療でも、やはりきちんとした泌尿器科クリニックの受診をお勧めします。

当院ではプライバシーに配慮し事前のWEB問診もご利用頂けます。
事前にWEBで問診頂ければ、受付等で何か症状についてお聞きすることもございませんのでご安心ください。またクリニックの入り口自体が、医療エリア直結エレベータをお乗り頂くと降りて目の前が当クリニックになります。是非、泌尿器科専門医にご相談ください。

薄毛が気になる

薄毛は勃起障害同様に、命には直接関わりのある疾患ではありません。しかし、男女ともに薄毛は精神面で深刻な悩みをもたらすと思います。また何故、薄毛治療を泌尿器科で?と疑問に思う方も多いと思います。薄毛には遺伝、年齢やストレス、栄養の偏りなどによるものと男性ホルモンの影響によるものと大まかに二つに分かれ、そのうち男性ホルモンによるものが、実は泌尿器科と非常に関係の深いものとなります。男性ホルモンによる脱毛症、薄毛のことを男性型脱毛症(Andorogenetic Alopecia/AGA)と呼びますが実はその治療薬が男性特有の前立腺肥大症で用いる男性ホルモンを抑える薬と全く同じだからです。そもそもAGA治療薬で用いられているプロペシア®(フィナステリド)は前立腺肥大症の治療薬開発中に、その副作用むしろ副次効果として薄毛の改善を認めたことが、今日の薄毛治療に用いられることになった経緯がございます。それではもう少し詳しく解説していきます。

1. 原因について

薄毛の原因は多岐に及びますが、そのうちどれか一つだけが原因であることは少なく、むしろそれらが複数重なった際により顕著になると考えます。おおまかな原因としては、血液の循環不全により髪の毛の成長が鈍くなり抜けやすくなることや、皮脂が毛根に詰まり炎症をもたらすことで髪の成長を阻害すること、男性ホルモンの影響髪の毛が細くなり太い毛が再生されないことなどが挙げられます。それらに加えて薄毛の原因となる食事バランスの偏りや生活習慣、ストレスなども同時に薄毛症状悪化の一因であると考えられています。

2. 症状について

ここでは主に、男性型脱毛症(AGA)について説明します。脱毛の進行パターンとして多いのは前頭部(おでこの生え際)や頭頂部から起こることが多いです。またこれらの混合パターンなども認めます。兆候としては毛が柔らかくなり細くて短い抜け毛が増えてきたなどを自覚した場合には注意が必要です。

3. なぜ泌尿器科で治療するのか

厚生労働省にて認可された内服治療薬は2005年に認可されたプロペシア®(フィナステリド)があります。男性ホルモンが脱毛に深く関わる活性型テストステロンに変換することを防ぐことで脱毛を抑えるとされています。その後、2016年に満を持して認可されたザガーロ®(デュタステリド)もフィナステリドと同様の作用機序ですが、より多くの男性ホルモンが活性型テストステロンになることを防ぎ、さらにその薬の効果減弱までの時間(半減期といいます)が長いことが特徴です。実は、ザガーロ®と全く同成分であるアボルブ®は、前立腺肥大症の治療薬として日本で2009年に販売を開始されています。デュタステリド自体は元々は前立腺肥大症の薬ですので、自費診療のAGAクリニック医師に比べると泌尿器科医の方が使用およびその副作用マネージメントも含めよほど経験豊富かと思われます。副作用には性欲減退や勃起不全、射精障害などがあります。頻度は高くはないですが肝機能障害などにも注意が必要です。AGA治療で主に用いられているデュタステリドで最も注意すべき点は、PSAという前立腺がんの腫瘍マーカーを意図せず下げてしまい、前立腺がんがあるにも関わらずPSA検査で正常値が出てしまう場合があるという点です。つまり、こうした背景を考慮せずにAGA治療を開始してしまうと、前立腺がんを見落とすリスクがあるということです。それゆえにAGAの開始前に、特に前立腺がんの発症リスクの上がる50歳以上の方は、泌尿器科でPSAを測っておく必要があるといえます。またこれら薬剤は女性に対する効果は認められておらず、さらには妊娠中の服用は胎児の発育に悪影響を及ぼすとされていますので注意が必要です。

AGAの進行遅延を目的とする(脱毛予防)上記の2剤に加えて、そのアプローチが異なる血管拡張、血流改善により発毛を促すのがミノキシジルになります。ミノキシジルにはAGAによる薄毛の直接的な原因(男性ホルモン)を防ぐ効果はありませんが、血流改善により発毛を期待することができます。またこれらは男性ホルモンに作用する治療薬ではなく女性の薄毛にも効果が期待できますが、厚生労働省に許可を受けているのは外用薬(塗り薬)のみで注意が必要です。海外からの個人輸入や自費診療クリニックで処方されているミノキシジルの内服薬に関しては、そもそも日本の厚生労働省で認可されていないだけでなく、製造元の海外も含め発毛目的の治療薬として許可されていないものとなります。認可されている塗り薬であるミノキシジルに関しても効果を実感するまでに少なくとも半年以上はかかるとされています。副作用は塗布部位の赤みや炎症などで、こちらも軽微なものがほとんどです。

4. まとめ(私見)

薄毛は男女問わず、その本人にとっては非常にセンシティブな悩みです。またその原因も多岐にわたり、いわゆる特効薬がないのも辛いところです。脱毛に効果のあるザガーロも結果的には薄毛治療薬の根本治療ですが、根気よく継続して内服する必要があり、発毛薬であるミノキシジルも塗り薬の効果に実感がわかず、その費用も馬鹿にならないので中断してしまうことも多々あるかと思います。また美容クリニックなどで行われている真皮までは到達しないインクを皮膚に注入するアートメイクはここでは詳細は述べませんが費用も非常に高く、その効果も一時的かつ施行する方の技術によっては大きく異なることが問題です。美容院などで技術の高い、美的センスのある美容師がきちんとした研修を受けたうえで行う方法も今後は普及してくるのではと期待しています。ただしそのための安全性を担保した法の整備も重要かと思います。まとめますと、薄毛の発現や効果には個人差が大きく、やはり薄毛治療を専門に行っている皮膚科などでご自身にあった治療を根気よく続ける必要があると考えます。当院は泌尿器科クリニックではございますが、前立腺肥大症の患者様にはデュタステリドの処方を豊富に経験しておりますので、何なりとご相談ください。

記事執筆者
桃園 宏之
  • 日本泌尿器科学会 指導医
  • 日本泌尿器科学会 専門医

 

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