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薄毛が気になる

薄毛は勃起障害同様に、命には直接関わりのある疾患ではありません。しかし、男女ともに薄毛は精神面で深刻な悩みをもたらすと思います。また何故、薄毛治療を泌尿器科で?と疑問に思う方も多いと思います。薄毛には遺伝、年齢やストレス、栄養の偏りなどによるものと男性ホルモンの影響によるものと大まかに二つに分かれ、そのうち男性ホルモンによるものが、実は泌尿器科と非常に関係の深いものとなります。男性ホルモンによる脱毛症、薄毛のことを男性型脱毛症(Andorogenetic Alopecia/AGA)と呼びますが実はその治療薬が男性特有の前立腺肥大症で用いる男性ホルモンを抑える薬と全く同じだからです。そもそもAGA治療薬で用いられているプロペシア®(フィナステリド)は前立腺肥大症の治療薬開発中に、その副作用むしろ副次効果として薄毛の改善を認めたことが、今日の薄毛治療に用いられることになった経緯がございます。それではもう少し詳しく解説していきます。

1. 原因について

薄毛の原因は多岐に及びますが、そのうちどれか一つだけが原因であることは少なく、むしろそれらが複数重なった際により顕著になると考えます。おおまかな原因としては、血液の循環不全により髪の毛の成長が鈍くなり抜けやすくなることや、皮脂が毛根に詰まり炎症をもたらすことで髪の成長を阻害すること、男性ホルモンの影響髪の毛が細くなり太い毛が再生されないことなどが挙げられます。それらに加えて薄毛の原因となる食事バランスの偏りや生活習慣、ストレスなども同時に薄毛症状悪化の一因であると考えられています。

2. 症状について

ここでは主に、男性型脱毛症(AGA)について説明します。脱毛の進行パターンとして多いのは前頭部(おでこの生え際)や頭頂部から起こることが多いです。またこれらの混合パターンなども認めます。兆候としては毛が柔らかくなり細くて短い抜け毛が増えてきたなどを自覚した場合には注意が必要です。

3. なぜ泌尿器科で治療するのか

厚生労働省にて認可された内服治療薬は2005年に認可されたプロペシア®(フィナステリド)があります。男性ホルモンが脱毛に深く関わる活性型テストステロンに変換することを防ぐことで脱毛を抑えるとされています。その後、2016年に満を持して認可されたザガーロ®(デュタステリド)もフィナステリドと同様の作用機序ですが、より多くの男性ホルモンが活性型テストステロンになることを防ぎ、さらにその薬の効果減弱までの時間(半減期といいます)が長いことが特徴です。実は、ザガーロ®と全く同成分であるアボルブ®は、前立腺肥大症の治療薬として日本で2009年に販売を開始されています。デュタステリド自体は元々は前立腺肥大症の薬ですので、自費診療のAGAクリニック医師に比べると泌尿器科医の方が使用およびその副作用マネージメントも含めよほど経験豊富かと思われます。副作用には性欲減退や勃起不全、射精障害などがあります。頻度は高くはないですが肝機能障害などにも注意が必要です。AGA治療で主に用いられているデュタステリドで最も注意すべき点は、PSAという前立腺がんの腫瘍マーカーを意図せず下げてしまい、前立腺がんがあるにも関わらずPSA検査で正常値が出てしまう場合があるという点です。つまり、こうした背景を考慮せずにAGA治療を開始してしまうと、前立腺がんを見落とすリスクがあるということです。それゆえにAGAの開始前に、特に前立腺がんの発症リスクの上がる50歳以上の方は、泌尿器科でPSAを測っておく必要があるといえます。またこれら薬剤は女性に対する効果は認められておらず、さらには妊娠中の服用は胎児の発育に悪影響を及ぼすとされていますので注意が必要です。

AGAの進行遅延を目的とする(脱毛予防)上記の2剤に加えて、そのアプローチが異なる血管拡張、血流改善により発毛を促すのがミノキシジルになります。ミノキシジルにはAGAによる薄毛の直接的な原因(男性ホルモン)を防ぐ効果はありませんが、血流改善により発毛を期待することができます。またこれらは男性ホルモンに作用する治療薬ではなく女性の薄毛にも効果が期待できますが、厚生労働省に許可を受けているのは外用薬(塗り薬)のみで注意が必要です。海外からの個人輸入や自費診療クリニックで処方されているミノキシジルの内服薬に関しては、そもそも日本の厚生労働省で認可されていないだけでなく、製造元の海外も含め発毛目的の治療薬として許可されていないものとなります。認可されている塗り薬であるミノキシジルに関しても効果を実感するまでに少なくとも半年以上はかかるとされています。副作用は塗布部位の赤みや炎症などで、こちらも軽微なものがほとんどです。

4. まとめ(私見)

薄毛は男女問わず、その本人にとっては非常にセンシティブな悩みです。またその原因も多岐にわたり、いわゆる特効薬がないのも辛いところです。脱毛に効果のあるザガーロも結果的には薄毛治療薬の根本治療ですが、根気よく継続して内服する必要があり、発毛薬であるミノキシジルも塗り薬の効果に実感がわかず、その費用も馬鹿にならないので中断してしまうことも多々あるかと思います。また美容クリニックなどで行われている真皮までは到達しないインクを皮膚に注入するアートメイクはここでは詳細は述べませんが費用も非常に高く、その効果も一時的かつ施行する方の技術によっては大きく異なることが問題です。美容院などで技術の高い、美的センスのある美容師がきちんとした研修を受けたうえで行う方法も今後は普及してくるのではと期待しています。ただしそのための安全性を担保した法の整備も重要かと思います。まとめますと、薄毛の発現や効果には個人差が大きく、やはり薄毛治療を専門に行っている皮膚科などでご自身にあった治療を根気よく続ける必要があると考えます。当院は泌尿器科クリニックではございますが、前立腺肥大症の患者様にはデュタステリドの処方を豊富に経験しておりますので、何なりとご相談ください。

 

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