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排尿日誌、国際前立腺症状スコア、過活動膀胱質問表、AMS質問票

1.排尿日誌

頻尿を訴えて受診される患者さんに、実際に何回くらいおしっこに行っているのか、その量はどのくらいなのか、トイレにいく時間はいつくらいなのかを正確に客観的に評価するために行うアンケートです。アンケートを記載頂くと、実際には頻尿ではないこともよくあります。また頻尿であった際に、その原因が単に飲水過多による多尿ではないか、夜に偏って多い夜間多尿ではないかなども、日誌によって診断が可能となります。1日ではその正確性が不十分で、最低でも2日間は記載頂くようにお願いしています。問診や超音波検査などで、前立腺肥大や過活動膀胱が診断できた際には必ずしも必須の日誌ではございませんが、それらの治療を行ったにも関わらず改善を認めない際は、正確な排尿サイクルを確認するために記載していただきます。

2.国際前立腺スコア(IPSS)

頻尿や尿の勢いが弱くなった、排尿後にパンツにちょい漏れするなど、男性でこれらの症状を訴えて受診する際は、その原因が前立腺肥大症によることが大半です。そのため初診男性でこれらの訴えが受診理由である際は、国際前立腺スコアというアンケートにご協力頂きます。アンケートは7つの質問で構成されており、過去一ヶ月間の残尿感や、頻尿、尿漏れなどをそれぞれmax5点(高い方が悪い)の6段階評価し重症度を判定するための質問表になります。合計点が7点以下で軽症、8〜20点で中等症、21点以上で重症と判断されます。これら自覚症状をもとに、腹部超音波検査などの他覚的な検査所見も勘案し、前立腺肥大症の治療を行います。また治療経過後の効果判定にも使用しますので、ご記載頂ければと思います。

どれくらいの割合で次のような症状がありましたか 全くない 5回に1回の割合より少ない 2回に1回の割合より少ない 2回に1回の割合くらい 2回に1回の割合より多い ほとんどいつも
0 1 2 3 4 5

この1か月の間に、尿をしたあとにまだ尿が残っている感じがありましたか

この1か月の間に、尿をしてから2時間以内にもう一度しなくてはならないことがありましたか

この1か月の間に、尿をしている間に尿が何度もとぎれることがありましたか

この1か月の間に、尿を我慢するのが難しいことがありましたか

この1か月の間に、尿の勢いが弱いことがありましたか

この1か月の間に、尿をし始めるためにお腹に力を入れることがありましたか

  0 1 2 3 4 5

この1か月の間に、夜寝てから朝起きるまでに、ふつう何回尿をするために起きましたか

IPSS重症度:軽度(0~7点)、中等症(8~19点)、重症(20~35点)

現在の尿の状態がこのまま変わらずに続くとしたら、どう思いますか とても
満足
満足 ほぼ
満足
なんとも
いえない
やや
不満
いやだ とても
いやだ
0 1 2 3 4 5 6

QOL重症度:軽度(0,1点)、中等症2,3,4点)、重症(5,6点)

前立腺肥大症について

3.過活動膀胱質問表(OABSS)

頻尿を主訴に受診され、過活動膀胱を疑う女性患者さんに記載頂く4つの質問で構成されるアンケートになります。質問3「尿意切迫感」についての質問が2点以上かつ、全体で3点以上であれば過活動膀胱と診断できます。また、その合計点が5点以下で軽症、6〜11点で中等症、12点以上で重症と判断します。診断および治療判定に有用であるので、こちらも初診時にはアンケートご回答頂ければと思います。

質問 症状 点数 頻度  
1 朝起きた時から寝るまでに、何回くらい尿をしましたか 0 7回以下
1 8~14回
2 15回以上
2 夜寝てから朝起きるまでに、何回くらい尿をするために起きましたか 0 0回
1 1回
2 2回
3 3回以上
3 急に尿がしたくなり、我慢が難しいことがありましたか 0 なし
1 週に1回より少ない
2 週に1回以上
3 1日1回くらい
4 1日2~4回
5 1日5回以上
4 急に尿がしたくなり、我慢できずに尿をもらすことがありましたか 0 なし
1 週に1回より少ない
2 週に1回以上
3 1日1回くらい
4 1日2~4回
5 1日5回以上

過活動膀胱について

4.Aging Maleʼs symptons(AMS)質問票

男性更年期障害の疑いで受診頂いた際にはまず初めに、こちらの質問票で重症度を評価します。おもに3つの項目に分かれていて、身体的、精神的、性的な点数を確認します。27点未満ならば問題ありませんが27点以上であった場合は男性更年期障害の可能性がより高くなります。

  各項目を1~5点の5段階で自己評価を行い、合計点を出して判定ください。 なし 軽い 中等度 重い 非常に重い
1 2 3 4 5
1 総合的に調子が思わしくない
(健康状態、本人自身の感じ方)
2 関節や筋肉の痛み
(腰痛、関節痛、手足の痛み、背中の痛み)
3 ひどい発汗
(思いがけず突然汗が出る。緊張や運動と関係なくほてる)
4 睡眠の悩み
(寝つきが悪い、ぐっすり眠れない、寝起きが早く疲れがとれない、浅い睡眠、眠れない)
5 よく眠くなる、しばしば疲れを感じる
6 いらいらする
(当り散らす、些細なことにすぐ腹を立てる、不機嫌になる)
7 神経質になった
(緊張しやすい、精神的に落ち着かない、じっとしていられない)
8 不安感
(パニック状態になる)
9 身体の疲労や行動力の減退
(全般的な行動力の低下、活動の減少、余暇活動に興味がない、達成感がない、自分をせかさないと何もしない)
10 筋力の低下
11 憂うつな気分
(落ち込み、悲しみ、涙もろい、意欲がわかない、気分のむら、無用感)
12 「人生の山は通り過ぎた」と感じる
13 力尽きた、どん底にいると感じる
14 ひげの伸びが遅くなった
15 性的能力の衰え
16 早期勃起(朝立ち)の回数の減少
17 性欲の低下
(セックスが楽しくない、性交の欲求が起こらない)

17~26点が「なし」、27~36点が「軽度」、37~49点が「中等度」、50点以上が「重症」となります。   

記事執筆者
桃園 宏之
  • 日本泌尿器科学会 指導医
  • 日本泌尿器科学会 専門医
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