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亀頭包皮炎

亀頭(陰茎の先端部分)と包皮(亀頭を覆う皮)に炎症を起こし、赤くなったり痛みが出たりする状態です。こどもから大人まで幅広い年齢で発症する可能性があります。それではその原因や治療法、予防について述べていきます。

1. 原因について

亀頭包皮炎の原因は実に多岐にわたります。まずは細菌があります。不衛生な状態で亀頭と包皮の間に恥垢(かす)が貯まり、そこに細菌感染を起こすことが原因です。特に真性と仮性問わず、包茎の方で起こしやすいです。また疲労時やストレスで身体の免疫力が落ちているときにも細菌性包皮炎の発症リスクはあがります。主な原因菌はブドウ球菌や連鎖球菌、大腸菌などの常在菌が原因で発症します。次にカンジダなどの真菌(カビ)が原因で起きる包皮炎があります。こちらも同様に免疫力低下時に起きることが多いですが、パートナーの方にカンジダ膣炎があり、その方と避妊具なしの性交渉でうつる可能性もあります。その他、クラミジアや淋菌などのいわゆる性感染症で亀頭包皮炎を起こすことや、アレルギーや化学物質による炎症で引き起こされることもあります。

性感染症

2. 症状について

亀頭や包皮の赤みと腫れ、痛みや不快感、痒み、排尿時や性交時の痛み、異常な分泌物の増加(白っぽい)、悪臭など多岐に渡ります。一番は痛みで悩まれる方が多い印象です。

3. 診断について

ほとんどの亀頭包皮炎は問診および視診で実際に患部を視て診察を行い診断がつくことが多いです。ただし分泌物の状態によっては培養検査を行い、真菌であることを確定する必要や性感染症が疑われた場合は尿検査で淋菌やクラミジアの検査を追加し確定診断が必要です。

4. 治療について

原因に応じて治療法が異なります。多くを占める細菌性亀頭包皮炎では抗菌薬を含んだ軟膏を患部に塗布して頂くと炎症が治まるとともに痛みや赤みも改善していきます。真菌が原因と診断されれば抗真菌薬を含んだクリームを塗って頂きます。また細菌感染でも真菌感染でも症状が強い場合や治りが悪い際には内服の抗生物質もしくは抗真菌薬を処方する場合もございます。性病が原因の包皮炎であった場合は淋菌やクラミジア感染それぞれに応じた抗生剤を処方します(性病の項目で詳細をご確認ください)

このように原因に応じた軟膏や内服を処方しますが、炎症が強い場合は炎症を抑えるステロイド軟膏も処方する場合もございます。ただしステロイドは炎症を劇的に抑えますが、感染対策には逆の作用(免疫を抑えるので)に働くために、まずは前述の治療を行うことになります。

5. 予防について

毎日清潔に保つことが基本ですが、過度な洗浄は逆効果です。刺激の強い石鹸の使用は避け、シャワーで洗い流す程度で問題ないです。また性行為の際はコンドームを使用し性感染症のリスクを下げることも予防になります。

亀頭包皮炎は多くの男性が経験する可能性のあるありふれた疾患です。その原因と適切な治療、予防策により再発を防ぐことが可能です。場合によっては性病が隠れている可能性もあり、放置すると難治性になることもあります。包皮炎の専門である泌尿器科に早めの受診をしていただければと思います。

記事執筆者
桃園 宏之
  • 日本泌尿器科学会 指導医
  • 日本泌尿器科学会 専門医
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